ぜーんぶ経済

全ての話は経済に通ず。なんでも経済、金融市場へのインプリケーションにオチます

任天堂バブルから目が離せない

To: 任天堂株に興味のある人、マーケティングについて知りたい人

Contents: バブルとは、ブランド力とは、任天堂の強み

 

~導入~

2016年7月20日終値で31,000円を突破した任天堂<7974>。

1,2週間前の株価が約15,000円であったことからすると2週間で2倍になっていて、もしコールオプション("株を買う権利"という商品)なら100倍以上の値段を付けている。ちょうど日本株の市場も目先(あくまで目先)明るい状況であることに加えてPokemon Goがアメリカで盛大にヒットしているからだ。

 

もしオプションに100万円を入れていたら1億円、、、なんておいしいことを思い始めるとついつい手が出そうになる。

いつまで株価上昇が持つのだろうか?

答えは、、、、いかに市場をわかっていたとしても不明だ。

 

じゃあ儲けられないのかと言ったらそれはまた違う。今ではPER100倍などいわゆるマルチプルでは評価できない株価になってしまったが、最後の砦DCF法がある。資本コストや利益の見通しを立てることで自分なりに株価の落ち着いどころは計算することができる。今回の場合は既存ブランドのポケモンを使っていることから利益見通しなどは立て易いだろうし、もし儲けたい人は是非。(DCFに関してはググったりすれば出てくるし、BSの予測を避けたければEVAを使うのもよい。多少の数学がいるが基本は四則演算で済む。)

~本題1:バブルについて~

バブルの終わりは必ず需要が突然消失することを発端とする。一旦いなくなった買い手は株の所有者の恐怖をあおり、投げ売りを誘い(=一方的な供給)バブルは消えるのである。

このことから考えれば板を見ればわかりそうなものだが、入ってくる注文までは読めない以上どうしようもない。

余談だが、世界で一番最初に起こったバブルはオランダでのチューリップの買い付け騒ぎだと言われている。当時、チューリップ一つ買うために高い時では、金銀ダイヤモンドや広い土地を買える程の値段がついたようだ。もちろん、当時の人々がただの真っ赤や黄色のチューリップに惹かれたわけではない。

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引用元:It's Tulip Mania! | Wayside Gardens

当時の人々が惹かれたのはこのようなグラデーションや模様がついたチューリップだったのだ。このようなチューリップは実はチューリップが病気にかかることでできるらしい。(今だったらDNA操作とかでできそうだが)

なんにせよ、この希少性(=少ない供給)に対し、一過性の大量の需要が生まれたことがバブルの発端だったのである。

これは完全に私見だが、おそらくこれが数ある花のうちチューリップが未だに有名な理由なのではないだろうか。こう考えると一過性のバブルだったものの、世界初のバブルという逸話ができたおかげでこのチューリップにブランド力がついたのかもしれない。

 

~本題2:ブランド力について~

ブランドという言葉はかなり頻繁に聞くがこれを経済の観点から解釈するなら、特定市場において需要を引き付けるものとみなしたい。例えば花の中のチューリップ、ゲームの中のポケモンなどがブランドだろう。

同時に就職活動をしている学生や採用活動をする会社から頻繁にマーケティングという言葉を聞くが、これが非常に曖昧なのでこの言葉をこのブログ用に再定義したい。マーケティングは需要を呼び込むことである。

 

この一つの手段がブランドである。世間ではPokemon Goの売り出し方がうまいということが言われており、それは事実であるが私が注目したいのはそこではない。私が今回注目するのはポケモン(任天堂<7974>)のブランド力の強さである。ポケモンは約20周年くらいであろうと思われるが、私はこれが今後30年以上続く、マリオ同等のブランド力になるのではないかと見ている。

 

持論であるが、流行のピークから10年以上経っても力強く次の世代で盛り上がるブランドというのは30年以上の超長期に渡って売れると考える。異なる世代間で同じものを流行させることができれば、それはまた今後も流行らせることができると考えられるからだ。極端な例ではクラシック音楽や各地のお祭りや伝統もそのいい例である。

脱線するが、この三連休はちょうど京都の祇園祭が行われていて、珍しく山鉾巡行が休日に行われていたため、天候不安の中大盛況だった。もちろん巡行する山鉾は色々な装飾が施されており豪華なのだが、ディズニーのパレードと違い多くの人にとっては馴染みがあるわけでもなければ、鉾回しが見どころとされるくらい派手なわけではない。それでもあれほどの活況を見せることができるのはそれの歴史の長さであろう。ブランドの大きな要素の一つとして歴史の長さがあり、これは当然他に簡単に真似されえない強みだと考える。そういった点で京都が世界的に見ても観光地として強いのはこの歴史の長さも一つであろう。

 

~終わりに~

結局、任天堂の強みはどこかというと、テクノロジーをうまく使いつつマリオ、ポケモンなどの圧倒的ブランドを活かせるところである。今回は現実世界でスマホを使って遊ぶという目新しい技術を使って再度自社ブランドを活かせたのが株価の活況の要因だろう。実は活況自体は今回に限らず、wiiファミコンのときからあるのだが、今回はテクノロジーだけでなく、ポケモンのブランド力が任天堂の1つの強みであることを証明したいい例だと思われる。